
超高齢社会となり、介護費用が増え続けている日本。 では、実際にどれだけ増えてきているのか、介護保険制度が開始された平成12年度からの推移を見てみましょう。
11年間で2.3倍の増加
介護費用とは、介護保険を利用した場合に9割給付される費用のことで、そのおかげで、実質1割の負担で介護保険サービスを利用することができています。
しかし、その介護費用の根本にあるのは、介護保険料として、国民の所得から徴収された税金で支えられていることを考えると、介護費用自体が今後も継続して、必要な分の介護費用を継続して確保することができるのかが心配になると思います。
介護保険が始まった平成12年、つまり初年度では年間、3.6兆円だったのが、平成23年では8.2兆円。
計算すると、約2.3倍に伸びているのです。
そこで、気になるのは、さらに未来であり、地域包括ケアシステムの構築が望まれている2025年ではどれくら増加しているのでしょうか?
厚生労働省が出した「社会保障に係る費用の将来推計について・平成24年3月」では、2025年では19.8兆円となる予測が立っています。 平成12年の3.6兆円からしたら5.5倍増えています。
平成23年の2倍以上、介護費用は増える予想が立っているのが現実です。
では、介護費用を含む、社会保障給付費全体の推移を見てみましょう。
給付費総額でいうと、1970年は3.5兆円、1980年は24.8兆円、1990年は47.2兆円、2000年は78.1兆円、2014年では115.2兆円と、増加の一途をたどっています。
しかし、国民所得額は、1970年は61兆円、1980年は203.9兆円、1990年は346.9兆円、2000年は371.8兆円、2014年では370.5兆円と、 増加から横ばいとなっています。
つまり、国民所得額は今後低下していきますが、介護費用に関しては反比例して伸びていくという事になります。
増え続ける、要介護認定者数
介護費用が伸びる背景には、介護認定者の増加があります。
平成12年では218万人だった介護認定者が、平成24年では533万人となり、約2.44倍となっています。
この増え方は、介護費用の増加量と比例しており、介護費用の増加の背景には、介護が必要となる高齢者の増加、つまり、 「要介護高齢者の増加」が原因であるといえます。
年をとることが、そんなに悪いことなのか・・・
私は、地域福祉の仕事の関係から、高齢者の方と話をさせてもらう機会が多くあるのですが、実は、高齢者の方自身も、超高齢社会にたいして冷静な目で、自分を見ている場合が多と感じています。
「このまま年をとって、何の役にも立たない」
「税金は上がるのに、サービスは制限されて、いなくなれと言われているようなもの」
不安だが、どうしようもないという、あきらめにも似た、心情を話される場合がほとんどです。
ですが、私はそのような相談があった場合は、下記の事をお話しています。
「介護費用が上がるのは、介護が必要になった高齢者に対しての費用ですので、健康でいるように心がけましょう。
また、税金はあがるかもしれませんが、健康である高齢者が、たとえ、ご高齢であっても、介護が必要な高齢者を、逆に介護や生活のお手伝いをすることで、次の世代にバトンをつなぐという事が、一番の財産ではないでしょうか?」
誰もが、介護を受けたいという気持ちがあって要介護状態になるわけではありません。
そして、要介護高齢者を支えるのは、国に任せるのではなく、地域で相互に支えていくという意識を変えていくことが、超高齢社会を乗り切る鍵なのです。
年齢を重ねても、生きがいが持てる社会づくりが、地域包括ケアシステムの構築だと私は思っています。
手と手を取り合い、超高齢社会を乗り切りましょう!