地域包括ケアシステムにおける「5つの構成要素」

地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムを構成する5つの構成要素について、詳しくお話をしたいと思います。

元々は、「5つの視点」だった

5構成要素

 地域包括ケアシステムを語るにあたり、現在は、地域包括ケアシステムにおける「5つの構成要素」という左記の図が一般的によく見られますが、元々は5つの視点だったという事をご存知ですか?

 

 初期の、地域包括ケアシステムのイメージ図は下記のような姿でした。   5つの視点 現在の鉢植え型の図に比べると、非常にシンプルなイメージ図となっています。

現在の図と違いを挙げるならば、それぞれの内容が具体的に書かれているという点だと思います。

わかりやすい項目で言えば、②介護サービスの充実強化(特養などの介護拠点の緊急雨整備(平成21年度補正予算:3年間で16万人分確保))や⑤高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備(高齢者専用賃貸住宅と生活支援拠点の一体的整備、持ち家のバリアフリー化の推進)という風に具体的に記されています。

このような書き方を見てみると、誰あてに記されているのかというと、「市町村などの自治体」もしくは「医療・介護関係者」など、高齢者を支える専門機関が地域包括ケアシステムを理解する為のような内容となっています。

現在の「5つの構成要素」での追加点

5つの視点2現在の地域包括ケアシステムの「5つの構成要素」は、平成25年5月地域包括ケア研究会報告書で使われていた資料を厚生労働省が地域包括ケアシステムのあるべき姿として採用しているイメージ図ですが、前回の「5つの視点」から追加された点があります。 それは、5つの視点それぞれに追加された項目があります。

医療 + 看護

介護 + リハビリテーション

予防 + 保健

生活支援 + 福祉サービス

すまい + すまい方

上記の追加された理由は、地域包括ケアシステムをより詳しく表現するために付け加えられた項目となっています。

また、「5つの構成要素」では、「植木鉢」に例えられて構成図が表現されています。

土台となるのは、「すまいとすまい方」で、生活の基盤となる拠点である住む場所の確保と、それだけにとどまらず、どのように住まうのか、その在り方まで視野に入れることの必要性が表されています。

 

その上にある、「生活支援・福祉サービス」は植木鉢に満たされる、植えられた根が育つのに必要な養分を含んだ「土」と考えられます。

どのような立派な建物があったとしても、最低限の生活が送れるような、支え合う生活支援がなければ、その地域で暮らし続けることはできません。

 

また、医療や介護などの専門的サービスが専門的な医療、介護、予防に関するサービスや、健康を維持するための介護予防に関する取り組みが定着することは難しいという事あるとして、植木鉢の中の土台である、土としての役割を生活支援・福祉サービスが担うこととイメージされています。

 

そして、それら植木鉢、土があってこそ成り立つのが「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・予防」となり、介護が必要となっても、住み慣れた地域で暮らし続けるために受けられる専門サービスとなるという事が「5つの構成要素」から見て取ることができます。

もう一つの構成要素

実は、現在の地域包括ケアシステムの「5つの構成要素」を見てみると、「すまい・すまい方」の下にさらに、受け皿が置かれているのがわかります。

その受け皿には「本人・家族の選択と心構え」という項目が追加されています。

fd1c96cafea73176ab23ab4ddbea768f_s今後も高齢社会が加速していき、単身・高齢者のみ世帯中心となる中で、自分が介護が必要になった場合は、どのような生活を送りたいのか考えるひつ王があります。

また、避けることが出来ない「最期」の時は、自分がどのようにして、最期の時を迎えたいのか、本人・家族が共に選択と心構えを持つことが必要であると記されています。

医療・介護の現場に長くいる私の意見を言わせてもらうと、ほとんどの高齢者の方は、「自分が高齢であること」と「自分がいつか死ぬこと」についての実感はほとんどありません。

70最台の方でも元気な方が多く、「老人会は、老人しかいないので入らない」と言われる事が多くあります。

そして、ある日、脳梗塞などの疾患にかかり倒れる、もしくは、認知症にかかり重度化して判断能力が失われていき、自身で、どのような介護を受けたいのか、最期はどのようにして迎えたいのか選択が出来ないまま最後を迎える方がほとんどです。

このように、本人が選択する能力を持っていない場合、家族もしくは周囲の方のほとんどは、「死」に対する責任を持つことが恐くてできずに、本人が枯れ果てるまで先延ばしにして、亡くなるまでのカウントダウンを延ばすという行為を行ってしまいます。

元気で判断能力がある時には、「植物状態にだけはなりたくない」と言われる方がほとんどです。

また、最後を過ごす場所としては「住み慣れた自宅がいい」というのぞみを言われる方が大多数ですが、その決定をしていなかったが為に、病院で亡くなる場合が8割を超えているのが現状です。

それらの事を考えると、「死」と向き合い、選択が行えるうちに選択をし、家族と共に心構えをきちんと行うという事が、自分自身が悔いを残さない人生を終えるために必要なことといえます。

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