今回は、生活支援コーディネーター向けのワーク事例として、
「安くて使い勝手がいいから使いたい」という高齢者からの相談にどう対応すべきか？
をテーマに、自立支援の観点から具体的な対応を一緒に考えていきます。
動画解説
🧓 事例紹介：Aさん（82歳・女性）
- 一人暮らし、足腰に不安あり
- 週1回、バスでスーパーに買い物へ行っている
- 最近「バスの乗り降りが怖い」「買い物が面倒」と感じている
- 「安くて使いやすい」と聞いた移動支援・買い物代行を利用できないかと相談
- 日常生活の自立は維持、認知症や失禁等の問題なし
- 地域にはボランティア移動支援や訪問型生活支援サービスがあるが、担い手不足で利用対象者を絞っている
🤔 ワークの問い：
このAさんのケース、ボランティア支援につなぐべきでしょうか？ あなたならどんな対応をしますか？
✅ 対応の考え方（模範ではなく“選択肢”として）
① 見守りと声かけ対応
- 現在自力で行動できている「強み」を認識してもらう
- 「不安」を過大評価せず、地域の見守り体制で“安心感”を支援
② 条件付き支援の検討
- 自立目標付きで3カ月限定など、“卒業前提”の支援提案
- 包括支援センターと連携し、生活機能の評価を行う
③ 情報提供にとどめる
- 依存傾向が強く見られる場合は「代替手段の情報提供」に切り替え
- 例：配食サービス、ネットスーパーなど
- 利用方法が分からない場合にはサポートのみ提供
④ 同行支援を提案する
- 完全な代行ではなく「一緒に行く」支援で外出機会を維持
- こちらも期間限定・自立を目指す提案にする
⑤ 家族・包括支援センターとの連携
- 月1訪問の家族とも情報共有の打診（本人了承の上）
- 本人が不安を口に出せていない場合の補完として活用
💬 断ること＝自立支援になることもある
「断るのが怖い」「信頼関係を損ねたくない」と思って、安易に支援を受け入れていないでしょうか？
支援を繋ぐ＝善
ではなく、
この支援は“本人のため”になるのか？
を問い続ける姿勢が、真のコーディネート力につながります。
本人が本来持っている力を引き出し、 その先にある「自立した日常」を支える。
それが、生活支援コーディネーターの使命です。
🔗 参考資料
「生活支援コーディネーターの自立支援が分かるチェックリスト」もあわせて活用ください。
少しでも現場での判断や支援のヒントになれば幸いです。
コメント