新しい認知症観③地域と仲間をつなげる

認知症

地域包括ケアシステム.comの成冨です。

今回は、いよいよ最後の講義になります。
新しい認知症観 基礎講座の最終回は、「地域と仲間をつなげる」というお話をしていきたいと思います。

新しい認知症観で、地域と仲間のつながりを自然に、無理なく実現するにはどうすればいいのか。
今回はその具体的な考え方と進め方をお伝えします。

動画解説

これまでの整理

まず整理します。

できることについては、日頃のケアやアセスメントで把握し、自立支援型のケアマネジメントを行うことで実践ができると思います。

やりたいことについては、第2回の講義でお伝えした「心のケアマネジメント」により、相手の心の幸せの種を見つけるワークを通じて、あなた自身が実践できる形になったと思います。

そして最後が「地域と仲間とのつながり」です。
ここを実現するために、体制の土台を整えるのがチームオレンジです。

この3つが重なり合ったところに希望が見つかる。
それが新しい認知症観の最終的な実践の形になります。

今回のテーマ

今回は「地域と仲間とのつながり」。
チームオレンジに、無理なく、心が伴う活動として、できる範囲で参加していく。
その体制づくりの方法をお伝えします。

チームオレンジの流れ(ステップ)

厚生労働省の「チームオレンジの取り組みの推進」の流れを要約すると、次のステップになります。

1 認知症サポーター養成講座を行い、認知症サポーターが養成される
2 ステップアップ講座で研修を受け、実際の実践に入る力をつける
3 多様な関係者が交流できる拠点を整備する
 薬局、スーパー、美容院、コンビニ、金融機関、商店街、認知症カフェ、地域包括支援センターなど、多様な主体が関わる
4 交流したチームで、早期から継続的に支援できる体制をつくる
5 その結果、認知症でも安心して暮らせる地域づくりが実現する

これがチームオレンジの流れです。

0から作ろうとしない

ただ、ここで多くの方が思うのは、
「チームオレンジって、どうやって実現したらいいの?」
という疑問だと思います。

ここで大事なのは、地域ですでにある力を生かすことです。
0から作ろうとしない、という視点が重要になります。

すでにある役割を生かす

チームオレンジで支援を行う場合、すでに地域には基盤があります。

困りごとのお手伝いは、生活支援コーディネーターが体制を整備しています。
困りごとの個別相談や支援は、地域包括支援センターがすでに行っています。

チームオレンジは、すべての役割を0からやるものではありません。

たとえば、
見守り、声かけ、外出支援、ボランティア訪問などは、生活支援コーディネーターの領域で行われている。
孤立しないための関係づくり、専門職へのつなぎ、窓口の紹介などは、地域包括支援センターが担っている。

そこに、その他の関係者が地域の情報を交換し、
事業所で関わりのある利用者の方をつないだり、
どこの事業所ともつながっていない認知症の初期症状が出た方の支援について情報共有し、早期介入を行ったりする。

まずはそのための「場」をつくる。
「居場所」をつくる。
これが非常に重要になります。

交流拠点としての機能を発揮する

交流拠点機能を発揮するために、事業所として機会を持つことが、これから求められます。

たとえば、
グループホームが認知症ケアの拠点として地域をサポートしていく。
これは認知症施策推進大綱や認知症対策基本法の中でも根拠を持って示されています。

また、社会福祉法人は、地域における公益的な取り組みが求められています。
制度にない取り組みを行い、地域の課題を解決するために役割が期待されている。
それが社会福祉法人の役割です。

根拠として示されている内容

認知症施策推進大綱では、特に認知症高齢者グループホームについて、

認知症の人のみを対象としたサービスであり、地域における認知症ケアの拠点として、その機能を地域に展開して、共同型認知症対応型通所介護や認知症カフェなどの事業を積極的に行っていくことが期待される

という趣旨が明文化されています。

また、社会福祉法人については、地域における公益的な取り組みとして、

日常生活または社会生活の支援を必要とする者に対し、福祉サービスを無償または低額な料金で提供する
少子高齢化や人口減少などを踏まえた福祉ニーズに対応するサービスの充実が必要

という趣旨が示されています。
これは平成28年改正社会福祉法でも、古くから言われている内容です。

受け止め方は分かれる

この話を聞くと、人によって受け止め方は分かれます。

ネガティブに受け止める方は、
「また仕事を増やされる」
「今の仕事でもいっぱいいっぱいなのに」
「お金をくれるなら考える。委託事業にしてほしい」
という反応もあると思います。

一方で、ポジティブに受け止める方もいます。

本来やりたかった拠点づくりのきっかけを探していた。
年に数回でも交流の場を持つことで、事業所を知ってもらえる。
地域にファンができ、困った時に助け合える仲間ができる。
地域とのチャンスだと思う。

このあたりで大きく二つに分かれると思います。

今後の現実として

私は今後、介護人材が不足していく中で、
地域の方に介護助手や職員として協力してもらう必要が高まっていくと思っています。

そのためには、信頼関係づくりができていないと、
事業所単体では、人員的に生き残ること自体が厳しくなる可能性がある。

だからこそ、これはそれぞれにメリットがある取り組みだと思っています。

ワーク

ここでワークです。
これはあなた個人でも、事業所でも構いません。

また、地域包括支援センターや行政担当者であれば、
介護サービス事業所、特にグループホームや社会福祉法人に対して、実践を勧めたいワークになります。

質問は2つです。

1 今、事業所で地域に開かれた取り組みをしていますか
 はい/いいえ
 はいの場合は、具体的にどんな活動をしているか教えてください

2 地域の人と一緒にできそうな活動のアイデアはありますか
 地域に喜ばれる
 無理なく続けられる
 自分たちの強みを生かせる
 小さなアイデアで構いません

このワークを通して、
新しい活動のきっかけを見つけ出す機会にしていただければと思います。

結果的に、地域と仲間とのつながりの場ができ、
チームオレンジというチームで支え合う形が整い、
事業所のファンが生まれ、
お互いにこの時代を乗り越えられるつながりができていきます。

アイデアが出ない場合の参考

もし意見が出ない場合は、私がYouTubeで公開している動画も参考にしてください。

サロンWaka 1周年記念動画

ほのぼのカフェ(認知症カフェ)

たとえばサロンWakaは、
私や認知症地域支援推進の方々と一緒に、
「認知症の方も受け入れて、優しく、みんなで楽しく過ごせる場所をつくりたい」
という相談をきっかけに始まりました。

1周年を迎え、最初は10名ほどだった参加者が今は30名ほどになり、
人数が増えてきたため月1回から月2回へと広がりが出ています。

こうした事例も参考にしていただいて、
事業所でも「認知症の方に優しい社会をつくりたい」という方とマッチングし、
新しい活動につなげていく可能性があります。

また、小規模デイサービスが休日に認知症カフェを行い、
行政や地域包括支援センターの協力も得ながら、
生活支援コーディネーターが高校生ボランティアのマッチングを行うなど、
世代間交流を組み合わせている事例もあります。

大事なのは「抱え込まない」こと

事業所単体で全部抱え込むよりも、
仲間や協力者に集ってもらう。
そこからネットワークをつくり、協力を得る。

あなたの思いに共鳴して
「一緒にやりましょう」という仲間とつながる。

毎週や毎月でなくても構いません。
年に数回、数時間でも、きっかけと思いがあれば自然と発展していきます。

その結果、事業所も孤立せず、地域と共に生き続けることにつながります。

まとめ

今回お伝えした「地域と仲間をつなげる」仕組みを、
チームオレンジの活動として、
あなたの所属する事業所や関係者と一緒にワークを行い、
地域でできる可能性の種を見つけていってください。

そうすることで、
できること
やりたいこと
地域と仲間とのつながり
が実現し、希望のある地域づくりにつながっていきます。

あなた自身も、あなたの事業所も、
希望が持てる未来を感じられる日が来ると思っています。

最後に

今回で講座は以上となります。

シリーズとして、
新しい認知症観の新旧の違い
要点と本質
地域と仲間をつなげる
この3回をお伝えしました。

新しい認知症観は、右から左へ流してしまいそうですが、
あなた自身の人生の充実にもつながる、価値観の転換のきっかけになると思っています。

今回の動画を参考にしていただき、
あなた自身の人生の充実に役立てていただければと思い作成しました。

最後まで受講いただきありがとうございました。
ワークも一緒に取り組んでくださり、難しかったかもしれませんが、
あなたの人生にとって素晴らしい気づきになればと思っています。

最後までご視聴ありがとうございました。
あなたの心の充実を、心から願っています。

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