本日から、新しい認知症観の基礎講座を行っていきたいと思います。
「新しい認知症観」と聞いて、まず最初に疑問に思うのは、
「何が新しいのか?」
という点ではないでしょうか。
新しい認知症観と言われても、
どこが新しいのか分からない、
これまでと何が違うのか分からない、
もともと自分は新しい認知症観で関わってきたのではないか、
そう感じる方も多いと思います。
だからこそ今回は、
・古い認知症観とは何だったのか
・新しい認知症観とは何なのか
この新旧の違いを比較しながらお話ししていきます。
この講座は、全3回シリーズでお伝えしていく予定です。
新しい認知症観を学んで、時代に取り残されたくないと感じている方は、ぜひご視聴ください。
動画解説
新しい認知症観の基本となる考え方
新しい認知症観の「基本のき」となる部分は、
認知症施策推進基本計画に示されています。
ここを押さえておけば、新しい認知症観の核心は外しません。
計画の中では、新しい認知症観について次のように示されています。
認知症になってからも、一人一人が個人として
できること・やりたいことがあり、
住み慣れた地域で仲間などとつながりながら、
希望を持って自分らしく暮らし続けることができる、
という考え方です。
この赤字部分が、新しい認知症観の最も大切なポイントです。
この考え方をもとに、
認知症の人が自らの意思で、多様な主体と一緒に、
共生社会をつくっていくことが必要だとされています。
また、認知症の人の尊厳を保持することも重要とされています。
ただ、この文章を読んだだけでは、
「それはこれまでも言われてきたことでは?」
と感じる方も多いと思います。
そこで重要になるのが、
この赤字部分を要約できるかどうか、という点です。
新しい認知症観の4つのポイント
要約すると、次の4点になります。
・認知症になっても、できることがある
・認知症になっても、やりたいことがある
・地域で仲間とつながって生きる
・希望を持って暮らす
この4つを押さえておくことで、
「新しい認知症観とは何ですか?」と聞かれたときに、
自分の言葉で説明できるようになります。
古い認知症観と新しい認知症観の違い
では、古い認知症観と新しい認知症観は、
何が違うのでしょうか。
古い認知症観は、
問題や困難を中心に見る視点でした。
一方、新しい認知症観は、
本人の可能性や、地域と一緒に支え合いながら生きることを中心にしています。
本人の問題ばかりを見る視点から、
本人の可能性、そして一人ではなく、
みんなとつながる視点へと変わっています。
内側やネガティブな側面を見る視点から、
外側や可能性、ポジティブな側面を見る視点へ、
ここが大きく変わった点です。
基本姿勢の違い
古い認知症観では、
認知症になったら困難な状態になり、
介護の対象になり、
「終わり」というイメージが強くありました。
家族がなったらどうしよう、
自分がなったらどうしよう、
怖いという認識が一般的だったと思います。
一方、新しい認知症観では、
認知症になっても、生き方の一つとして捉えます。
記憶は失われても、
その人の大切なアイデンティティが失われるわけではありません。
周囲の支えがあり、
認知症の進行を予防するための治療やノウハウも積み重なり、
地域の理解も進んできています。
希望を持って生きている人たちの情報発信も増えています。
本人理解の違い
以前は、
できないことが増えていく、
そのできないことをどう改善するか、
そこに視点が置かれていました。
新しい認知症観では、
本人ができることは何か、
作業を分担すればできることは何か、
そして本人が望んでいることは何か、
そこに目を向けます。
本人の心に寄り添い、
やりたいことを大切にする理解へと変わっています。
支援者の姿勢の違い
問題行動を起こさないように、
事前に安全策を重ねることで、
本人の自由が制限されてしまう関わり方から、
本人と共に考え、
どこまで自由を広げられるのかを検討し、
本人の意思決定を支援していく姿勢へと変わっています。
形だけの支援ではなく、
本人の心に寄り添う関わり方が重視されています。
社会の構造の違い
以前は、
家で暮らせなくなったら施設へ、
社会から分離された構造がありました。
現在は、
地域、職場、学校など、
社会全体で支える方向へと変わっています。
認知症サポーター養成講座、
地域での交流、
チームオレンジなどの体制づくりが進められています。
目的の違い
古い認知症観の目的は、
負担の軽減や症状の抑制でした。
新しい認知症観では、
本人の生活の質を高めること、
自己実現や社会参加が重視されています。
洗濯物を畳む、折り紙をする、
そうした活動も、
誰かの役に立ち、
感謝が返ってくる関係性につなげていくことが大切です。
言葉の違い
徘徊、問題行動、介護負担といった言葉から、
目的のある外出、
不安の表現、
支え合いといった言葉へ。
言葉を変えることで、
見方や意識も変わっていきます。
まとめ
古い認知症観と新しい認知症観を比較することで、
日本がどの方向へ進もうとしているのかが見えてきます。
そして、
自分が認知症になったとき、
どちらの社会で生きたいのか、
その問いが自然と浮かんでくるのではないでしょうか。
今回は、新旧の認知症観の違いについてお話ししました。
次回は、
新しい認知症観の要点と本質、
そして現場で何ができるのかについてお伝えしていきます。




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