今回は、親の介護を始める前に後悔しないために考えておくべき3つのことについてお伝えしたいと思います。
介護業界で20年以上の経験を持つプロ、主任ケアマネジャーであり、社会福祉士でもある私が、親の介護で後悔しないための秘訣をお伝えします。
介護を始める前にしっかり備えをしておけば、後悔は先に立ちません。
しかし、心構えも備えもなく介護を始めてしまうと、後で「もう遅い」と感じる場面が出てきますので、ぜひ確認してください。
それでは、初めての介護で後悔しないために考えるべき3つのことについて、1つずつお伝えしていきます。
動画解説
1. 自分の大切なものの優先順位を考える
介護が始まると、目の前の介護が「緊急で重要なもの」になり、その他のことに目を向ける余裕がなくなってしまいます。
本当に視野が狭くなり、介護だけに集中せざるを得なくなります。
しかし、そうなってしまうと、自分のパートナーや子ども、友人、仕事など、大切なものをおろそかにしてしまいます。
その結果、それまで支えてくれていた人たちとの関係が破綻し、最終的に自分に残るのは「親の介護だけ」になり、共倒れしてしまうケースもあります。
だからこそ、介護を始める前に、自分にとって何が大切なのかを考え、優先順位を明確にすることが重要です。
その中には、「自分自身」も含まれます。
親の介護のために自分を犠牲にし、結果的に心身ともに追い詰められてしまう人も多いです。
疲れ果ててしまい、介護のストレスから虐待に至ってしまうケースもあります。
私は、何よりも「介護するあなた自身を大事にする」ことが大切だと考えています。
そして、親以外の家族も大切です。パートナーや子どもとの関係と親の介護、どちらを優先するのかを冷静に考えておくことが必要です。
人間の「心」や「時間」には限りがあります。
すべてを完璧にこなそうと思っても、どうしてもキャパシティオーバーになってしまいます。
「親の介護を十分にできない私は親不孝なのでは?」と悩む人もいますが、施設に入った後でも幸せに暮らしている高齢者はたくさんいます。
「自分がどこまでなら介護をできるのか?」
「自分が無理なく関われる範囲はどこまでか?」
を冷静に考えておくことが大切です。
また、仕事についても考えなければなりません。
中には「親の介護のために仕事を辞めます」と言う方もいますが、金銭的に困窮してしまい、結果的に親の年金に頼らざるを得なくなるケースもあります。
介護はいつ終わるかわかりません。貯金が底をつき、自分の生活が成り立たなくなってしまうと、親も自分も不幸になってしまいます。
だからこそ、「自分の大切なものの優先順位」をしっかり考え、介護とどのように向き合うのかを決めておくことが重要です。
2. 介護に費やせる時間とお金を冷静に考える
介護にどれだけの時間とお金を費やせるのか、事前に冷静に考えておくことも大切です。
介護にかけられる時間
・1日にどれくらい介護に時間を使えるのか?
・遠方に住んでいる場合、電話やLINEでの安否確認はどの程度できるか?
・市内に住んでいる場合、どの頻度で親の家を訪問できるか?
・親が体調を崩したとき、どの程度サポートできるか?
実際に介護が始まると、「できるだけのことをやろう」としてしまい、気づかないうちに自分の限界を超えてしまうことがよくあります。
その結果、燃え尽きてしまうケースも多いです。
介護にかけられるお金
・親に金銭的な支援ができるか?
・自分の生活や将来のための貯蓄を削らずに、どれくらい援助できるか?
介護の負担は少しずつ増えていくため、最初のうちは大丈夫だと思っていても、気づいたら家計が圧迫されていることもあります。
事前に金銭面についても冷静に考えておくことが大切です。
3. 自分以外の協力者を考えておく
介護は1人で抱え込むものではありません。事前に「誰に協力を頼めるか」を考えておきましょう。
・兄弟や親戚
・親の友人や地域の人(民生委員など)
・行政や地域包括支援センター、医療機関、介護事業所
いざ介護が必要になったとき、「誰に相談すればいいのか」が分かっているだけで、大きな安心感につながります。事前に相談しておくことで、信頼関係を築くこともできます。
また、行政や介護事業所とも関係を作っておくことで、「家族がすぐに駆けつけられない場合にどう対応すればいいのか」などのアドバイスをもらうことができます。
介護は突然必要になることが多いので、備えは早ければ早いほど良いのです。
まとめ
介護はいつ必要になるか分かりませんし、いつ終わるかも分かりません。
多くの場合、重要な決断を「冷静な判断ができない状態」で迫られます。
だからこそ、以下の3つのことを事前に考えておくことが大切です。
- 自分の大切なものの優先順位を決める
- 介護にかけられる時間とお金を冷静に考える
- 自分以外の協力者を把握しておく
これらを事前に整理しておけば、きっと後悔のない介護ができるはずです。
ぜひ参考にしてください。
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