地域包括ケアシステム構築のために、厚生労働省から市町村にガイドラインによって、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)と共に、「協議体」を位置づける事となりました。
今回は、協議体の位置づけと目的、役割についてお伝えしたいと思います。
協議体の位置づけ
市町村が主体となり、各地域におけるコーディネーターと生活支援・介護予防の提供主体等が参画し、定期的な情報共有及び連携強化の場として、中核となるネットワークを「協議体」とする。
とガイドラインでは位置づけられています。
パッと見たところ、市町村が作るものというふうに見えますが、あくまで、市町村は生活支援コーディネーターと、サービス提供者が連携ができるように、ネットワークを作るという役割となります。
また、協議体は個人や一つのサービス事業所がなるものではなく、あくまで、それら地域の支え手同士のネットワークができている状態で、一つの集合体として便宜上、「協議体」という名前を付けたものです。
協議体の主な活動としては、地域の仲間どうしで、定期的に情報交換をし合う会議や、これからの町づくりの意見を出し合う会議を行ったり、実際に町づくりを行っていくこととなります。
協議体の目的と役割
協議体の設置目的
生活支援等の基盤整備に向けて、多様な主体の参画が求められることから、市町村が主体となって、「定期的な情報の共有・連携強化の場」として設置することにより、多様な主体間の情報共有及び連携・協働によるサービスや資源開発等を推進することを目的とする。
→ ポイントは、市町村が主体となって設置を行うということです。
地域の生活支援サービスが充分に整っており、かつ、住民同士が顔なじみで、ネットワークが出来ている地域は、残念ながら少ないのが現状です。
そして、急激な超高齢社会の到来のために、急ピッチで地域づくりを行うニーズが高まり、ある意味、急に地域づくりを行わなくならなければなくなってしまったのが現状だと言えます。
その中で、地域の住民同士が、いち早くつながりを持って、協議体としてネットワークができるようになるには、「きっかけ」が必要となります。
そこで、政府は市町村が主体となり、「協議体」の土台を整える必要性があると方向性を示しているといえます。
協議体の役割等
・コーディネーターの組織的な補完
・地域ニーズの把握(アンケート調査やマッピング等の実施)
・情報の見える化の推進
・企画、立案、方針策定を行う場
・地域づくりにおける規範的統合(意識の共有)を図る場
・情報交換の場 ・働きかけの場
具体的な例をあげると・・・
①地域の課題を協議体のメンバーで話し合い、地域課題を発見する。
②どのように地域課題を解決に導くのか、解決策を話し合いで検討し、計画を立てる。
③計画が立ったら、役割を決めて、実際に地域づくり活動を行っていく
という流れになることがほとんどだと思います。
会議を重ねていくことで、参加者同士の情報交換や方向性の合意形成ができ、一体感を持って地域づくりが行う事ができます。
そして、顔を合わせ続けることで、それぞれに関心を持つことができ、より、自分たちの地域を支えていくというやりがいにもつながることが予測されます。
また、協議体内のみでの解決が難しい場合には、他の協議体からアドバイスや協力を得て、地域課題を解決に導き出すという役割も期待されています。
協議体の2層の考え方と機能
第1層 協議体(サービス・資源の開発や基盤整備)
【想定される構成員】
サービス提供組織のネットワーク、地域包括支援センターの連絡組織、中間支援組織、自治会連合会、民生委員・児童委員協議会、介護サービス事業所の協議会、経済・商工団体、行政関係部局等
【機能】
・既存の市町村レベルでの会議を活用し、市町村全域でのサービス開発
・サービスの活動基盤の支援策等の協議
・他の市町村と共同したサービス開発
・協議体の方向性の合意形成とサービス開発等
第2層 協議体(サービスを提供するための日常的な連携や調整)
【想定される構成員】
圏域内のサービス提供組織、町内会・自治会の連合会、民生委員協議会、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所等
【機能】
・地域包括支援センター主催の地域ケア会議推進
・日頃からの顔の見える関係づくり
・行政、医療、介護、サービス提供事業所との連携
・第1層コーディネーターの支援を受けたルールづくり
・第2層団体間の関係づくり
※生活支援コーディネーターでは、実際にサービス提供を行う者や団体が第3層として位置づけられていましたが、協議体はネットワークを形成した後できるものなので、第2層までとなります。
協議体の設置主体
市町村と第1層のコーディネーターが協力して地域の関係者のネットワーク化を図り、協議体を設置する。
※ 地域の実情に応じた様々なネットワーク化の手法が考えられるため、既に類似の目的を持ったネットワーク会議等が開催されている場合は、その枠組みを活用することも可能。
※ 特定の事業者が主導すると他事業者の反発等も想定されることから、当面は、市町村が中心となって協議の場を設けるなどし、関係者間の情報共有を目的とした緩やかな連携の場を設置することも一つの方法。
まず、協議体という考え方が地域に根付いていない段階なので、まずは第1層から、協議体という考えの理解を浸透させていくという事になります。
また、生活支援コーディネーターでもありましたが、「既存のものを活用する」という考えが、協議体にもあり、「既に類似の目的を持った会議などがある場合には、活用する」と記されています。
これから求められる協議体
地域包括ケアシステムを構築すべく、早急な協議体の設置が求められています。
また、協議体に求められるのは、名ばかりの役職者、つまり「あて職」だらけが、机上で問題点ばかりを出し合い、時代のせいだといって嘆くことではありません。
実際に求められるのは「具体的な地域づくりの計画と実施」となります。
どの地域も、手探りの協議体、生活支援コーディネーターの創出となります。 当サイトでは、具体的な運営の方法や成功事例など随時載せていきますので、参考にして頂けますと幸いです。
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