生活支援コーディネーター

生活支援コーディネーター

sc  地域包括ケアシステム構築のために、厚生労働省から市町村にガイドラインによって、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を位置づける事となりました。

今回は、生活支援コーディネーターの位置づけと目的、役割についてお伝えしたいと思います。

生活支援コーディネーターの位置づけ

 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は、高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進していくことを目的とし、地域において、生活支援・介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者を「生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)」とする。

とガイドラインでは位置づけられています。

f05061a65c23024173ad5b73742554a5_s 少子高齢化が進展し、社会保障費が圧迫された現在、生活支援サービスの必要性が叫ばれるようになった中、具体的に地域の生活支援サービスを構築するために活躍することが望まれるのが生活支援コーディネーターとされています。

このガイドラインでの位置づけで忘れてはならないところは、目的が「高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進」する事であり、あくまで、その手段として「地域において、サービスの提供体制の構築コーディネート」を行う事であるという事です。

生活支援コーディネートを行う際には、地域の住民へ、考え方の教育を行わなければならず、地域の方の考えもそれぞれなので、方向性があちこちに向いていくことが予測されます。

そして、方向性の違いから、話し合いがまとまらなくなる際に、一つの方向性を見定める方法として、必要になるのが「高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進」する事が生活支援コーディネートの位置づけであるという事を再確認し、軌道修正するという事になります。

生活支援コーディネーターの目的と役割

生活支援コーディネーターの設置目的

 市町村が定める活動区域ごとに、関係者のネットワークや既存の取組・組織等も活用しながら、上記のコーディネート業務を実施することにより、地域における生活支援・介護予防サービスの提供体制の整備に向けた取組を推進することを目的とする。

→ ポイントは、「既存の取り組み・組織等も活用」しながらコーディネート業務を実施するということとなります。

8cb3b5f98951ea07f30902679eabccb9_s つまり、全くのゼロから生活支援サービスを構築するという訳でなく、既存のものを活用していき、さらに方向性を「高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進」する方向へコーディネートしていく事が大切となります。

また、「既存の取組・組織等も」という「も」の部分があるように、地域で既存の取組や組織がない場合には、ゼロから立ち上げを行うという役割も含まれているという事があるという事は理解しておく必要があります。

上記の流れを見ると

既存 > ゼロから立ち上げ

という優先順位を付けてコーディネートを行うという事になります。

生活支援コーディネーター3層の役割と活躍の違い

生活支援コーディネーターの活躍は大きく3層に分けて考えられています

第1層のコーディネーター(広域開発型)

→ 市町村レベルにおいて市町村全域への生活支援サービスの開発・普及や基盤整備を推進する役割

第2層のコーディネーター(圏域調整型)

→ 中学校区や日常生活圏域等において圏域の生活支援サービス提供団体間の連携協働を促進する役割

第3層のコーディネーター(サービス提供型)

→ 生活支援サービスの提供組織(以下「サービス提供組織」)において利用者へのサービスの提供を行う役割

生活支援コーディネーターは、一体どのような役割をしているのか、初めて聞いた人の場合は「行政が、地域づくりをするようにコーディネートを行うんだろう」というイメージを持っている方がほとんどだとおもます。

ですが、第3層では、実際に生活支援サービスの提供組織で利用者へサービス提供を行うといった、実際の提供者レベルでもコーディネートを行う、コーディネーターも存在しています。

その第3層の生活支援サービス提供者たちを連携協働させていく役割を持つ、第2層のコーディネーターもおり、必ずしも、行政が主導で行うというものではありません。

むしろ、第1層の広域開発型である、市町村全域の基盤整備を推進する役割の土台を行政が主導で行い、市町村全域が生活支援サービスが自立していけば、地域が主体となり、行政は支援を行う側となる場合もあるとされています。

つまり、生活支援コーディネーターの主となるのは、地域の生活支援サービスを取りまとめ、促進していくリーダーという事になります。 sc

 

まとめ

「生活支援コーディネーターは  地域のリーダーであり、  行政ではない!」

 

生活支援コーディネーターの配置

 地域包括支援センターとの連携を前提とした上で、配置先や市町村ごとの配置人数等は限定せず、地域の実情に応じた多様な配置を可能とする。

→ 生活支援コーディネーターの活動の元は、あくまで地域の活動を主体としているので、配置人数人数制限を設けるという考え方自体が、そぐわないものとなります。ですので、配置人数は、多様な配置が可能となっています。

生活支援コーディネーターの資格・要件

 地域における助け合いや生活支援サービスの提供実績のある者、または中間支援を行う団体等であって、地域でコーディネート機能を適切に担うことができる者。

→ こちらも、明確に生活支援コーディネーターになれる・なれないの基準は「資格要件」は課されませんでした。

そもそも、地域において支え合いや助け合いを行っている方について、垣根を設けること自体が、支え合いの手を離すこととなる可能性にもなります。

ですので、実際に地域でお互いに支え合うという意識を持ち、実際に行動を起こすことができる方かつ、実績・能力がある方が適任であると考えられます。

また、地域づくりの意識はあるものの、実績がない方の場合でも、中間支援を行う団体の協力のもと、実績を積み重ねることができるので、「実績がないから、なにもできない」と及び腰にならず、積極的に、市町村の窓口もしくは地域包括支援センターへ相談をしていただける事をお勧めします。

コメント

  1. 田中 宏幸 より:

    製薬会社に35年勤務し、今は社会福祉士としてクリニックで退院支援の地域の受け皿として活動しています。社会福祉士の新しい試みとして退院支援(在宅に戻るための各種支援)・居宅復帰後のフォロー(ケアマネと利用者の連携)・地域住民への勉強会等の啓蒙・地域の施設(包括支援センターや入居施設等との協働)というジェネリックソーシャルワーカーとしての活動をしています。各地で医師会や訪問看護師によるコーディネーター事業が展開していますが、やはり「つなぎ」のプロは社会福祉士であるべきと思い、社会福祉士会での発表も重ねています。収入の面等解決しなければならない点もありますが、社会福祉士の国家資格の免許をとったものの宝の持ち腐れになっている方々を再教育して、プロの「つなぎ役」としてコーディネーター育成をしてはいかがでしょうか?

    • Mr.地域包括 より:

      ご連絡が遅くなり、大変申し訳ございません。
      今はジェネリックソーシャルワーカーとして活動されておられるのですね。
      社会福祉士としての志の高さを感じるコメントを頂き、誠にありがとうございます。

      医療と介護、地域との連携という部分で「収入面」の問題を解決しつつ
      社会福祉士をプロのつなぎ役としてコーディネーター育成という点、
      可能性はあると思います。

      問題は、それを行政か、包括か、病院か、介護事業所か、もしくは
      日本社会福祉士会が独立型社会福祉士にバックアップを行うのか、
      など焦点がさらに絞れれば良いかと思います。

      私なら、宝の持ち腐れにしている社会福祉士を再教育する
      よりも、志ある社会福祉士の専門教育を行い、つなぎ役として
      結果を出し、その結果を元に講演やコンサルティング活動を
      行えば良いかと思います。
      (もちろん、医療・介護・地域という実践の場と、
      社会福祉士という教育の場など、収入の幹を増やします)

      そうなる為には、医療と介護の連携はもちろんの事、
      障害、貧困は最低限解決できるネットワークを持たないと難しいです。

      そして、地域づくりを行い、住民同士の支え合い活動
      を需要の数だけ創出できる能力と実績を出すことが出来れば
      可能かと思います。

      また、上記の地域づくりを行うとなると生活支援コーディネーター
      が最も役割を果たしやすい立場になります。

      さらに言うならば、生活支援コーディネーターになり
      きちんと実績を積むと、市民の代表者となります。

      市民の代表者となり、その肩書きができれば
      どうなるでしょうか?お考え下さい。

      そうなれば、あなたが望む福祉社会を創出する大きな
      きっかけになるかと思います。

      考えられていた回答とは違ったかもしれませんが、
      私の見解は以上となります。

      ご質問いただき、誠にありがとうございました。

  2. Jun より:

    私もITコンサルなどIT業界に37年勤めた後、60歳代半ばにして社会福祉士とケアマネ資格を取得し、現在は地域包括支援センター配置の「生活支援コーディネーター」に就いています。
    行政も、第一層の社会福祉協議会職員である生活コーディネーターも確たる方針や、コーディネーターの目標、あるいは協議体の在り方についての考えを明示していないので、非常に「孤独な戦い」をしています。
    「目立ちすぎ」「やりすぎ」は行政からストップをかけられ、業務を開始して半年以内に協議体を設置しなければならないとの圧力をかけられるなどなど、長く住んでいる住民の中に突然パラシュート降下して急に何か成果をすぐにあげろと非常に厳しい環境の中で活動をしています。週4日ないしは時短の勤務が条件ですし、非常勤ですので、当然給与面も「抑えられて」います。10年先を見ての仕事と言われても、毎日どうしていくのか、すごく難しい仕事です。 「好事例」は全てモデル事業であって、さわやか福祉財団や行政のバックアップがあるものばかり。予算の関係で、モデル事業は1割にも満たず、あとは事例では「8か月で立ち上げられる」のだから「なんとかしろ」です。 この事業、本当にうまく進められるのでしょうか?

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