社会福祉法人の「地域貢献」が機能しない理由――非課税優遇の本来の意味をもう一度

地域共生社会

本日は**「社会福祉法人の地域貢献(地域における公益的取組)がなぜ機能しないのか」について、現場視点で整理します。

なお、すべての法人を批判する趣旨ではありません。あなたの身近に「取組が見えにくい(または不十分な)」法人がある場合の問題提起としてお読みください。

動画解説

1. まず押さえるべき定義(2016年改正の趣旨)

  • 地域における公益的な取組とは、制度の狭間で困っている人に対し、無料または低額で福祉サービスを提供することを中心とする実践です。

  • 2016年(平成28年)の社会福祉法改正で、社会福祉法人の公益性・非営利性を明確化。同取組の**実施は「努力義務」**と位置づけられました。

  • さらに2025年(令和7年)3月の国の整理でも、一層の推進が示されています。形だけでなく実効性が求められています。


2. 「非課税」の意味とインパクト(モデル試算)

例:全国平均規模イメージの法人(売上5.4億円、当期利益900万円)

  • 一般の株式会社なら概算で

    • 法人税:約135万円

    • 事業税:約36万円

    • 法人住民税(法人税割):約27万円

    • 均等割:約7万円

    • 合計:約205万円

  • 社会福祉法人は多くが本体収益に法人税非課税(※要件あり)。結果として均等割の約7万円のみで済むケースも。

  • 差額:約198万円/年10年で約1,980万円、20年で約4,000万円の優遇効果という大きな社会的期待を背負っています。
    ※あくまで一例です。規模・収益構造・自治体等で変動します。


3. それでも「機能不全」が起きる主因

  • 誤解・自己解釈

    • 「介護保険サービスを提供している=十分に公益的」

    • 「給付単価が低いから非課税は穴埋め」
      → **本来の趣旨は“制度の狭間を埋める実践”**です。

  • 現場との乖離

    • 人員不足・時間不足で困窮者の実相に触れる機会が少ない

    • 形式的イベント=社会貢献という“見せ方”に流れがち。

  • 行政サイドの課題

    • 制度設計・会議運営が先行し、人に触れる場づくりが弱い

    • 書面の整合は早く作れる一方、合意形成と伴走の仕組みが希薄

  • 組織内学習の不足

    • 職員が「公益的取組の目的・成果指標・実施手順」を体系的に学ぶ機会が少ない


4. まず“何を確認するか”

  • 地域協議会の開催状況

    • 「地域の公益事業の内容・対象・費用・到達目標」が議題化され、意思決定→実施→検証まで回っているか。

    • 既存会議を充当している場合も、議事の中身が公益実践に接続しているかを要確認。

  • 見える化

    • 低額・無償対応件数/時間支出額対象者像成果(再困窮率の低下等)の年次レポートが公開されているか。


5. “現場から変える”ための実務ヒント

  • 出会いの設計:窓口・アウトリーチ・多機関連携で「制度の狭間」にいる人に会う導線を可視化します。

  • ミニマム実装→検証:月1本の低額・無償枠を明示し、件数・時間・成果をトラッキング。

  • 職員学習:「公益的取組の設計テンプレ」「対象者アセス」「費用算定・寄付/助成連動」「合意形成(地域協議会)」を短時間eラーニング化

  • “形はAI、心は現場”:計画書・議事要旨・効果測定表はAIでスピード作成現場理解は対面支援で深める

 

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