日本の福祉制度は、これまで介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育て支援 新制度など、各制度の成熟化が進むものの、これまで通りの縦割り行政ではカバーすることが出来なかった生活課題への対応が困難である現状にあり、今後も現在の体制で制度維持を行なう事は困難となる事が予測されています。
そこで、 厚生労働大臣の下に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が設置され、「地域力強化ワーキンググループ」、「公的サービス 改革ワーキンググループ」、「専門人材ワーキンググループ」として地域共生社会の実現に向けて審議を重ねられています。
平成28年7月15日に審議された内容で、今後の法改正などの骨子が明らかにされています。
資料元:H28.7.15厚生労働省「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」
上記の図を見ていただくとおり、①福祉サービスの多様化・複雑化②高齢化の中で人口減少が進行することが背景・課題として予測されており、その課題解決の為に4つの改革が考えられていることがわかります。
4つの改革は「新しい地域包括支援体制」の中に2つ①包括的な相談から見立て、支援調整の組み立て+資源開発②高齢、障がい、児童等への総合的な支援の提供となり、
「新しい支援体制を支える環境の整備」として③効果的・効率的なサービス提供のための生産性向上④総合的な人材の育成・確保が明記されています。
上記の4つの改革を行なう事で、地域住民の参画と協働により、誰もが支えあう共生社会の実現を目指すこととしています。
要約すると、高齢者、障害者、児童等の福祉サービスが今後は組み合わさり、福祉サービスを総合的に提供する時代になり、かつ、効率化及び人材育成を行なうという、福祉業界のパラダイムシフトとなる事が検討されています。
しかも、それは漠然としたものではなく、現行制度で運用上対応可能な事項を明確化し、高齢者、障害者、 児童等の福祉サービスの総合的な提供の阻害要因を解消するために、①兼務可能な人員②共用可能な設備③基準該当障がい福祉サービスなどが活用可能であることとして、具体的に明記されている。つまり、これが縦割りから「丸ごと」に移行するということになります。
資料元:H28.7.15厚生労働省「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」
ただし、上記のように総合サービスの体制を図るだけではなく、同時に地域住民に主体と成り「我が事」として助け合いの共生社会を実現するための取組みも進められることとなります。それを説明した資料が下記のものです。
資料元:H28.7.15厚生労働省「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」
上記のイメージ図を実現するために、すでに平成 29 年の介護保険法の法改正、30 年度・33 年度の介護・障害 福祉の報酬改定、さらには 30 年度にも予定されている生活困窮者支援制 度の見直しに向けて、部局横断的に幅広く検討が行なわれているのが、下記の資料です。
資料元:H28.7.15厚生労働省「地域包括ケアの深化・地域共生社会の実現」
平成28年7月15日でのイメージはあくまでたたき台だったが、平成29年2月7日には「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)として、本部決定された概要の資料が発表されました。
資料元:H29.2.7厚生労働省「「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)」
「地域共生社会」の位置づけが明記され、改革の背景と方向性及び、改革の骨子、さらには実現に向けた工程が具体的にまとめられている。
最も注意すべきは2020年代初頭には全面展開されることが明記されており、地域包括ケアシステムの構築の目安が2025年であることを考えると、私達を取り囲む福祉制度や地域の活動が大きく変わる、改革がどんどんとスピードを上げて行なわれることが手に取るようにわかります。
今後の福祉業界では、いち早く世の中の流れをつかむ必要があります。特に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部では、総合的な福祉サービスの推進について、我々が知っておくべき大きな流れが変わる情報を受け取ることができますので、ぜひご確認されることをおススメします。
※「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部 → こちらをクリック
追伸:動画解説を撮りましたので載せておきます。
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