今回は訪問介護の現場でよくある「利用者家族によるカスタマーハラスメント」をテーマに、具体的な事例を通じて、相手の心を癒しながら問題を根本的に解決する方法をお伝えします。
動画解説
【事例】利用者家族によるクレームの内容
- 利用者家族(Aさん):50代女性
母親とは別居。訪問介護の際に立ち合うことがあり、口調が強く、職員に批判的な傾向。 - 職員(Bさん):40代女性ベテランヘルパー
丁寧な対応で評価が高いが、Aさんからのプレッシャーを感じている。 - 支援内容:
Aさんの母親への生活援助(掃除・洗濯・調理)を週2回実施。母親は要介護1。
【具体的な状況】
訪問終了後、Aさんが帰宅し、Bさんに「窓が汚れているのに気づかなかったの?気遣いで拭いてほしかった」と非難。
Bさんは「窓の外側の清掃は介護保険の対象外」と説明。
しかしAさんは「最近のヘルパーは冷たい」「他の人ならやってくれる」と人格否定的な発言を繰り返し、最終的に「クレームを言う」と捨て台詞を吐きました。
【問題のポイントと解決方法】
問題点:
- 契約外のサービス要求
- 職員の人格や業務を比較し否定
- クレームによる精神的威圧
具体的な対処法:
- 記録と共有の徹底
日時や発言内容だけでなく、職員が感じた心理的影響も記録する。 - 事実確認の実施
類似発言の有無をサービス提供責任者が確認。 - 契約書に基づいた対応
家族に再度説明し、必要ならケアマネジャーを交えた話し合いを行う。改善が見られない場合、サービス継続困難の判断も検討し書面通知。 - 職員への精神的支援
- 同行訪問やチーム内での情報共有で負担を軽減。
- 定期的なストレスチェックを行い、数値でストレスレベルを評価。
- 職場での断り方の統一
「ご希望は理解しますが、介護保険の範囲外であり、事故防止の観点からも対応できません」と明確に返答。
【根本的な解決へ向けてのアプローチ】
今回のようなクレームの根本には、家族自身の心の問題が隠れています。特にこのケースでは娘さん自身の親子関係が深く影響している可能性があります。
- 娘さんの心情分析:
- 幼少期から親に十分に愛情や承認を受けられなかった可能性。
- 親に直接支援することへの恐怖や不安、感謝や承認を得たい欲求がある。
- 根本的な解決策の提案:
- 娘さん自身に役割や居場所を与え、「今やっている見守りや連絡も十分立派な支援である」と認める。
- 他の家族との交流や介護者同士の集まりを通じて自分の親子関係を見直す機会を提供。
- 自身のトラウマに気づき、感情的な葛藤を癒す機会を作る。
【最後に】
このようなカスタマーハラスメントを行う人は、心が限界に近づいています。専門職として心の自立を支援することで、結果的に業務も円滑に進みます。
相手の心の痛みを理解し、癒しを提供できたとき、あなた自身にも大きな自信と喜びが生まれます。ぜひ今回の内容を実践してみてください。
また次回の記事でお会いしましょう。
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