家事支援国家資格化の本当の問題|介護現場が気づくべき“赤信号

介護保険

最近、「家事支援が国家資格化されるのではないか」「それによって介護保険の生活援助が外されるのではないか」という話題に、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

ヘルパーさんの生活援助が保険外サービスに置き換わっていくのではないか。高齢者がこれまで受けていた生活支援を受けられなくなるのではないか。介護保険はこれからどうなってしまうのか。

介護・福祉の現場で働く人ほど、この不安はとても自然なものだと思います。

私自身も、訪問介護の継続すら難しい地域が増えている中で、「なぜ今、保険外の家事支援を国家資格化する話が出てくるのか」と感じる部分はあります。

ただ、今回は感情的に怒りをぶつけるだけではなく、少し冷静に、そして踏み込んで考えてみたいと思います。

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家事支援の国家資格化で不安が広がっている

家事支援が国家資格化されるという話を聞いて、多くの方が不安を感じています。

介護保険の生活援助が外されるのではないか。

ヘルパーさんの仕事が保険外の家事支援サービスに取られるのではないか。

高齢者が生活を維持するための支援を受けにくくなるのではないか。

そのように感じるのは、とても自然なことです。

介護の現場では、すでに訪問介護の人手不足が深刻です。

生活援助を担う人も足りず、地域によってはサービスを調整すること自体が難しくなっています。

そのような中で、保険外の家事支援サービスを国家資格化するという話が出てくると、「国は現場を見ているのか」と感じてしまう方もいると思います。

今の制度がそのまま続けば安心なのか

ただ、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。

仮に、保険外の家事支援サービスが国家資格化されなかったとします。

そして、今までの介護保険制度がそのまま続いたとします。

それなら本当に安心できるのでしょうか。

私は、そこにも大きな疑問があります。

介護保険制度は、すでにかなり疲弊していると感じています。

人手不足は深刻です。

財源も厳しくなっています。

介護ニーズは増え続けています。

制度は複雑になり、現場の負担も増えています。

つまり、今のままの介護保険制度にも、すでに行き詰まりが見えています。

だからこそ、変化そのものをすべて否定するだけではなく、「なぜ変わらざるを得ないのか」も見ておく必要があります。

介護保険だけでなく制度全体が限界に近づいている

私は、介護保険だけでなく、この国のさまざまな制度自体が限界に近づいているのではないかと感じています。

高齢化が進み、支える人が減り、支えを必要とする人が増えています。

医療、介護、福祉、年金、地域交通、生活支援、どの分野も簡単ではありません。

その中で、これまで通りの仕組みをそのまま維持することは、だんだん難しくなってきています。

変わらざるを得ない状況になっていることは、現場で働く人ほど肌で感じているのではないでしょうか。

ただし、ここで大事なのは、変化が必ず良い方向に進むとは限らないということです。

制度が変わることと、現場が良くなることは、必ずしも同じではありません。

現場の声は本当に制度に届いているのか

私は、制度を作る側と現場の間には、大きな距離があると感じています。

現場の声は、市町村に届き、都道府県に届き、国に届いていきます。

もちろん、それぞれの立場で一生懸命取り組んでいる方はたくさんいます。

しかし、現場の本当の困りごとが、そのまま制度を作る側に届いているのかというと、疑問もあります。

小学生の頃にした伝言ゲームを思い出してみてください。

最初に伝えた内容が、人を通るたびに少しずつ変わっていき、最後にはまったく違う形で届いてしまうことがあります。

令和の時代になり、インターネットもAIも発達しているのに、現場の本当の困りごとがうまく伝わらない構造がまだ残っているように感じます。

その結果、現場では「なぜ研修ばかり増えるのか」「なぜ変な縛りが増えるのか」「なぜ私たちが望んでいない制度が出てくるのか」と感じることがあります。

現場は安くサポートしてほしいと言っている

介護の現場が本当に求めていることは、とてもシンプルです。

もう限界だから、実務を支えてほしい。

人手が足りないから、現場が回るようにしてほしい。

生活支援が必要な人に、必要な支援が届くようにしてほしい。

複雑な制度や書類を増やすのではなく、現場が使える支援を整えてほしい。

そう思っている方は多いはずです。

それなのに、現場から見ると「なぜそこに新しい資格を作るのか」「なぜ介護保険外の家事支援なのか」と感じてしまう。

このズレこそが、今回の問題の大きな部分ではないかと思います。

制度に依存しすぎると現場は苦しくなる

私はこれまで、老人保健施設で介護士として働き、例の管理者として現場と事業所運営に関わり、地域包括支援センターのセンター長として地域包括ケア体制づくりにも関わってきました。

また、生活支援コーディネーターとして、生活支援を行うボランティアの養成にも取り組んできました。

1300人以上のボランティアさんと関わり、有償ボランティアや移動支援サービスの立ち上げにも関わってきました。

そのような現場の中で感じているのは、制度に依存しすぎると現場は苦しくなるということです。

もちろん制度は大切です。

介護保険も、生活支援も、地域包括ケアも、制度があるから支えられている部分はたくさんあります。

しかし、制度だけに頼り切ってしまうと、制度が変わったときに現場も利用者も一気に苦しくなります。

これからは、その苦しさがさらに増していく可能性があると感じています。

赤信号みんなで渡れば怖くないという空気

少し厳しい言い方になるかもしれません。

でも、介護業界で一生懸命頑張る方にこそ、お伝えしたいことがあります。

今の介護業界全体には、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という空気が少しあるように感じます。

周りもやっているから大丈夫。

今まで何とかなってきたから大丈夫。

毎日忙しすぎて、目の前の業務をこなすだけで精一杯。

その気持ちは本当によく分かります。

ただ、そのままで本当に大丈夫なのか、一度だけ立ち止まって考えてみてほしいのです。

10年後、20年後に今のケアは残っているのか

少し想像してみてください。

今の状況がこのまま10年後、20年後も続いたとします。

そのとき、あなた自身が高齢者になり、介護サービスや地域包括ケアを受ける側になったとき、今の環境は守られているでしょうか。

あなた自身が、今と同じようなケアを受けることはできるでしょうか。

私は、正直かなり難しいのではないかと思っています。

現状維持ですら厳しい地域が増えています。

10年後、20年後に、今のままの支援体制が維持されている保証はありません。

事業所によっては、5年後も厳しいというところがあると思います。

市町村単位でも、サービスの維持が難しくなっている地域は出てくるでしょう。

これまで通りでも厳しいし、変わっても安心とは限らない

私は、これまで通りでも厳しいと思っています。

そして、何か制度が変わったとしても、それで安心できる保証もないと思っています。

つまり、私たちは「変わらなければ安心」という状況にもいないし、「変われば必ず良くなる」という状況にもいません。

だからこそ、外側の制度だけに期待するのではなく、自分自身の選択肢を増やしていく必要があります。

国がおかしい。

制度が分かってくれない。

現場を見ていない。

その怒りや不安は自然です。

でも、そこだけで止まってしまうと、自分の未来を他人任せにしてしまいます。

これから必要なのは自分自身の選択肢を増やすこと

これからの時代に安心して歩んでいくためには、自分自身の選択肢を増やすことが大切です。

制度が変わっても、自分が対応できる力を持つ。

環境が変わっても、自分の専門性を活かせる場所を持つ。

働き方や収入、関わる人を少しずつ自分で選べるようにしていく。

そのために必要なことは、大きく2つあると考えています。

1つは、AIのスキルを高めることです。

もう1つは、ケアマネジメント力を高めることです。

これからはAIスキルが必要になる

これからの時代、書類作成、記録、情報整理、研修資料づくりなど、多くの業務はAIで効率化できるようになります。

すでにAIを使えば、文章作成、要約、記録の整理、資料のたたき台づくりなどはかなり効率化できます。

ここに対応できるかどうかで、働き方も生産性も大きく変わっていきます。

AIを使える人は、書類や資料づくりにかかる時間を減らし、人と向き合う時間を増やすことができます。

一方で、AIを使えないままでいると、変化のスピードについていけなくなる可能性があります。

AIは、現場の専門性を奪うためのものではありません。

本来向き合うべき利用者さんや地域の方々と向き合う時間を取り戻すための道具です。

もう一つ必要なのは心のケアマネジメント力

もう一つ大切なのは、ケアマネジメント力を高めることです。

ただし、ここでいうケアマネジメント力は、穴埋め方式で抜け漏れをなくすだけの力ではありません。

行政の実地指導で指摘されないように、金太郎飴のようなケアプランを作る力でもありません。

本当に必要なのは、ご本人の心の中にある「本当はどう生きたいのか」を見つけ出す力です。

本人の意欲、エンパワメント、生きがいの源泉を見つける力です。

その泉を掘り当てることで、本人の中から生きる力が湧き出てくるような支援を行う。

私はこれを、心のケアマネジメントと呼んでいます。

心のケアマネジメントは自分自身の人生も変える

心のケアマネジメント力を高めていくと、利用者さんへの支援だけでなく、自分自身の人生にも変化が起きます。

自分自身が本当にやりたいことは何か。

自分の人生のやりがいはどこにあるのか。

どのような働き方をしたいのか。

誰と関わり、どのように生きていきたいのか。

そうしたことを見つめる力が育っていきます。

誰かの人生を変えるようなケアマネジメント力を持つ人は、制度や環境が変わったとしても、人を支える本質をつかむことができます。

その本質を持っている人は、介護業界が大きく変わっても、必ずどこかで活躍できる場が見つかると思っています。

制度に振り回される側から選ぶ側へ

AIスキルと心のケアマネジメント力。

この2つを実践している人は、制度に振り回されるだけの側から、少しずつ自分で選ぶ側に変わっていけます。

働き方を選ぶ。

収入の作り方を選ぶ。

関わる人を選ぶ。

自分の専門性を活かす場所を選ぶ。

もちろん、すぐにすべてが自由になるわけではありません。

でも、少しずつ選択肢を増やしていくことはできます。

自分自身が安定し、自分の未来を選べる状態にならないと、利用者さんや家族、職場の仲間を本当の意味で支え続けることは難しいのではないかと思います。

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怒りの代弁だけでは本当の解決にならない

家事支援サービスの国家資格化について、「介護保険の生活援助外しだ」「国は現場を分かっていない」と強く言えば、多くの方に共感されるかもしれません。

怒りを代弁してくれたと感じて、すっきりする方もいると思います。

もちろん、現場の怒りや不安は大切な声です。

しかし、怒りを代弁するだけでは、現実はあまり変わりません。

一時的に気持ちは楽になるかもしれませんが、自分自身の働き方や未来の選択肢が増えるわけではありません。

私は、あなたと一緒に安定して生き残りたいと思っています。

そして、変化の時代の中でも成長する喜びを一緒に感じていきたいと思っています。

制度があってもサービスがない地域は増えていく

これからは、制度があっても介護保険サービスがない地域が増えていく可能性があります。

制度上はサービスが存在していても、実際には事業所がない。

人手が足りず、利用したくても調整できない。

地域によって選択肢がどんどん狭まっていく。

そのような現実は、すでに一部の地域で起きています。

介護保険制度自体が疲弊しており、新しい形に変化しなければ維持が難しい状況に入っているのだと思います。

その事実を受け止めた上で、私たちはどう動くのかを考える必要があります。

自分で未来を選べる力を育てる

国がおかしい。

制度が現場を分かっていない。

それでも一生懸命頑張れば何とかなる。

その気持ちだけで終わらず、これからは自分自身も変化していく必要があります。

AIを学ぶ。

心のケアマネジメント力を磨く。

制度が変わっても人を支えられる本質的な力を身につける。

そうすることで、自分で未来を選べる力が少しずつ育っていきます。

私はまだ途中です。

でも、同じようにこの時代の中で、自分の生き方や活躍する場所を選びながら、自分らしい人生を歩みたい方と一緒に進んでいきたいと思っています。

家事支援サービス国家資格が始まるなら学びに行く

ちなみに、もし家事支援サービスの国家資格が本当に始まるのであれば、初年度は受講要件や難易度も比較的低くなる可能性があると考えています。

私は、そのときは受けに行こうかなと思っています。

変化に文句を言うだけではなく、実際に見に行く。

学びに行く。

現場で何が起きるのか、自分の目で確かめに行く。

その姿勢も大切だと思っています。

もし同じように感じる方がいたら、一緒にその会場で受験しましょう。

まとめ

今回は、家事支援サービスの国家資格化について、その背景にある本当の問題を考えました。

生活援助が外されるのではないか、介護保険がさらに縮小するのではないかという不安は、とても自然なものです。

しかし、仮に家事支援サービスの国家資格化がなかったとしても、今の介護保険制度がそのまま安心して続くとは限りません。

人手不足、財源不足、制度疲労、地域格差はすでに進んでいます。

これからは、制度に依存しすぎるだけではなく、自分自身の選択肢を増やしていくことが必要です。

そのために大切なのは、AIスキルを高めることと、心のケアマネジメント力を高めることです。

AIを使って書類作成や情報整理を効率化し、人と向き合う時間を取り戻す。

そして、本人の心の奥にある本当のやりたいことや生きがいを見つけ出すケアマネジメント力を磨く。

この2つを持つことで、制度に振り回される側から、自分で未来を選ぶ側に少しずつ近づいていけます。

怒りを共有するだけで終わらず、一緒に変化し、成長し、これからの時代を生き残っていきましょう。

そして、多くの人の力になれる実践力を、これから一緒に高めていきましょう。

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